メガンテのメタル三昧

私メガンテがメタルについて語ります。新譜紹介やライブレポートの他、blackmetalとdjentを中心にオススメ盤の紹介なども行います

【CD紹介】TRIX 『POWER』 レヴュー記事

ギタリスト菰口雄矢が在籍するフュージョンバンドTRIXの2012年のアルバム
『POWER』の紹介記事を書かせて頂きたいと思います。

2011年にメンバーチェンジを経て、前任ギタリストの平井武士に代わり、
菰口雄矢が加入しての2枚目のアルバムがこちらです。

カシオペアの熊谷憲明、元T-SQUAREの須藤満に加えて、現代フュージョン
を代表すると言っても過言ではない新鋭ギタリストの菰口雄矢が加入したと
ならば、鬼に金棒ですら生ぬるいくらいではないか!?

私は教則本やDVDにて菰口のプレイを見て度肝を抜かれ、できるだけ最初期の
アルバムを聴いてみたい、と思い、この作品を手に取ったクチです。

これをお読みになっている皆様にも是非とも手に取って頂きたい一枚です!
amazon,yahooオークションで、だいたい2000yenくらいで販売しているので、
お近くのCDショップにて、もし見当たらない場合はそちらでの購入を
検討してみてはいかがでしょうか。

表題曲の「POWER」はyoutubeにて聴くことができますので、一度試聴してみては?
近年、ギター雑誌や教則本などで若手凄腕超絶フュージョンギタリストとして
名を馳せてきた菰口雄矢さんのギターがこれでもか!というくらいに詰まっています。

この表題曲である「POWER」という楽曲、いかにもKENSOT-SQUAREなどの
ジャパニーズフュージョンを思わせる一曲ですが、各楽器のアレンジがえげつない!
それでいて、全く聴き難さやとっつきにくさはなく、むしろ爽やかで非常に耳障りの
いいサウンドになっています。

ここでも光っているのが菰口のギターです。
教則本やギター雑誌の特集などでたびたび紹介されているスウィープのフレーズが
冒頭のテーマメロディから炸裂しています!!(笑)

現代フュージョンを代表するテクニックの一つとして、何らかの7thコードの
4和音(+テンション)アルペジオをメタル系に影響された高速スウィープで弾く、というのは最近では誰もがやっている事のようにも感じますが(リッチー・コッツェン辺りからですかね?この手法がポピュラーになり始めたのって??)、菰口の見せ方はやはり群を抜いてます!!!

歪んだサウンドに意味不明の音使い、奇怪なボイシングのテクニカルなアルペジオ、と
私が現代フュージョンのギタープレイで特徴的に感じているプレイの全てを菰口は
カバーしきっている、と言い切っても過言ではないでしょう。

しかし、彼の教則本を読むと、菰口はギタープレイにおいて、スコット・ヘンダーソンやアラン・ホールズワースがやってそうな、所謂アヴェイラブルノートスケール的な解釈の仕方はどうやらしてないようなのです。

あくまでもメジャースケールを中心にコンバージョンした上で、インターバルをできるだけ奇怪に飛びまくる運指システムを構築している、というのが菰口の基本スタイルらしく、それにテクニカルな7thアルペジオの連結(トライアドでは絶対に弾いてないみたいですね、、これは全ての現代フュージョンギタリストに共通している事かも知れませんが)したスウィープ・エコノミーのフレーズを織り交ぜる、さらに巧みに休符を入れることによってリズムに変化を持たせ、より難解なフレーズを際立たせている、と
いうのがアルバムでも聴くことのできる菰口のプレイスタイルに関するヒントでしょう。

そんな難解かつテクニカルでありながら、どこか爽やかでキャッチ―なサウンドを
この『POWER』というアルバムではふんだんに聴くことができます。

普通のギターインストアルバムとしても、十分に「聴ける」魅力を持っている一枚
ですので、現代フュージョンファン以外の方、特に速弾きギターインスト好きの
方には絶対にオススメしたい一枚です‼